掲載日:2015/02/16
日付: 2014年12月
出典: Addressing Humanitarian Effectiveness No.121
Neghne Goyal
世界中で、女性と子どもは気候変動の影響による不釣合に高いリスクに直面している。いくつもの研究でこの点が指摘されてきたが、リスクの差異に関する説明もまた平等ではない。少女たち、特に思春期の少女たちが気候変動で直面する課題を明確に示す必要がある。ほとんどの途上国において、農村部では大部分の家庭で思春期の少女が必要不可欠な役目を担っている。世界中の多くの国で、6~8歳という若いうちから少女は家庭において重要な経済的・社会的貢献をする。彼女たちは完全に、あるいは少なくとも部分的には、薪を集めたり、飲み水を汲んできたり、弟や妹の面倒を見たりする責任を負っている。たいていの場合、少女たちは家庭の困難な状況および機会の不足によって、自らの将来に関して妥協せざるを得ない。
過去数年の間、オリッサ州(インド)沿岸部の開発は、頻繁な台風やサイクロンその他の災害によって、数々の妨げにあってきた。加えて、気候変動に直面してインフラが不足し、若い少女に公正な成長の機会を与えるうえで非常に大きな問題が突きつけられている。2014年3月にケンドラパダおよびジャガットシンプール地区で開発協力地域センターが実施した研究によると、思春期の少女が直面する主要な障壁のひとつとして「公平な教育施設へのアクセスの不足」が挙げられた。女性の出席率の低さ、中退率の高さ、有能な若い女性労働力の不活用の多さ、そして家事のため学校に行かれない少女の負担の重さ、といったものが今日のオリッサ州沿岸農村地域において思春期の少女が直面する現実なのである。
少女が月経中に学校に行くことができないことも、男子に比べて女子の出席率が低い主な理由のひとつである。農村部では少女は布ナプキンを使うが、このため月経中に学校へ行きトイレ設備のない学校で一日を過ごすのは困難なのだ。学校で女性の衛生用品や着替えを提供できるようにはなっていない。その結果、平均的に少女は月経により最低でも年間25~30日は学校を休むことになる。この日数は、悪天候や収穫期の仕事、家事等によって休む日数とは別である。また、出席率が低いと少女たちは9年生以上の教育を続けることができない。10年生に進級するには出席日数の要件があり、これが満たされないからである。
少女たちが高等教育を受けるための下宿施設が足りないことも、高等教育への進学を望む少女たちにとって問題である。ほとんどの高校はブロック本部やレベニュー・ビレッジにある。オリッサ州の村落は広く散在しているため、これが少女の高校中退率が高い理由のひとつとなっている。遠い沿岸地域にスクールバスを出すこともできず、したがって、中等レベル以上の学校教育を受けたければ、長くて時に危険な道を徒歩または自転車で通学することが必要条件となるのだ。中退のもうひとつの理由は、女子教育が低く評価されていることである。オリッサ州にも蔓延する集団的家長の考え方は、我が国の思春期の少女の生活を激しく非難する。女性は結婚したら働くことが許されない(そして働くべきではない)ため、結婚したら少女にとって教育は意味がないと考えられているからだ。
中退率が高いことによって、我が国の若い生産的な労働力が活用されないでいる。多くの有能な少女たちは、教育を受けて我々がこの国に望む変化をもたらしてくれるかもしれないのだが、四方を壁に囲まれて選択肢もなければ意見表明もできない。自然災害の増加が危惧される中、また開発の過程を何年も後退させがちな気候変動が起こっているとき、こうした状況は悪化する。
オリッサ州における気候変動の問題は、人々に移動を強いることとなっている。機会が不足しているため、男性はカシミールやケララ、グジャラートといった遠くの州に移住する。しかし、気候パターンの変動によって、これは若い男性にのみ可能なことなのである。家族を養うための生計手段を求めて遠隔地まで行き、女性や少女はたいてい家を守るため村に残ることになる。こうした家族の多くはお金に困っており、男性がいなくなると生活は困難になる。多くの女性は自分の村を出て最寄りの街までさえ行ったことがなく、女性にとって移動はひとつの課題であるのだ。
ほとんどの家族は、畑で採れる食糧と雨や地下水に生活を依存しているが、気候パターンの変化により、これらの家族には常に不安が大きくのしかかっている。内陸部の浸水による洪水によっておこる水中塩分の増大が、全てを地下水に依存する若い少女や女性の生活において大きな困難となりつつある。あとに残された少女は、こうした問題に対処する能力を持たないままこうした問題に対応しなくてはならなくなる。オリッサ州における気候変動による災害数の増加で、こうした若い女性にとって将来はさらに暗いものとなる。移住する機会もなく、教育を受けていないことによる負担増もあって、気候変動は潜在的なリスクを増大させている。現在は影響がそれほど明白ではなくても、将来的には少女たちは気候変動のリスクにもっとさらされることになるだろう。海水位が上昇し村全体が海中に沈んでしまう危機に直面し、少女たちは自らの意見を表明し、来るべき将来に備える必要がある。したがって、教育に重点をおいて少女に平等な機会を与えることは、我々が気候変動に強い個人およびコミュニティを造るために取り組むべき重要なリスク軽減戦略のひとつである。
―― メグナ・ゴヤル