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国際シンポジウム報告書が完成しました!
『激化する災害対応としての防災集団移転:多様性とジェンダー視点から』

掲載日:2020/04/21

 男女共同参画と災害・復興ネットワーク(JWNDRR)は、2019年11月、 防災集団移転の国際シンポジウムを世界銀行東京防災ハブにおいて開催しました。遅くなりましたが、報告書が完成しましたので、JWNDRRのホームページからご覧ください。
 日本では、2011年の東日本大震災以降、被災地において、より安全な高台などへの集団移転が行われてきました。移転の際に、女性や多様な住民の意見を丁寧に聞き取り、移転を成功させた東松島市や石巻市北上地区などの好事例が良く知られています。アメリカ合衆国でも同様に、中西部のミシシッピ河やミズーリ河が頻繁に氾濫し、多くの住民が洪水から逃れるために高台や、河川から離れた地域に移転してきました。大河川の洪水や高潮災害の危険地帯から町を移転する防災政は、Managed Retreatと呼ばれています。同様に、フィリピンやインドネシア、ネパールなどのアジア諸国においても、台風や地震などの大規模な自然災害後、防災集団移転や復興まちづくりが行われてきました。
 本シンポジウムでは、カリフォルニア大学、ネパールのNGO Lumanti、世界銀行、JICAなどからの事例報告に基づき、防災集団移転と復興まちづくりの国際比較を通じて、政策的課題と災害対応の妥当性や有効性を検討し、特に多様性とジェンダー視点に立つことの意義とチャレンジについて意見交換を行いました。
 堂本暁子JWNDRR代表は、「男性と女性が普段から一緒に地域社会をつくることによって災害に強い地域ができます。地球規模の温暖化の影響もあって世界はまさに「災害多発時代」。災害に対応するには、国レベルの協力体制の構築が求められていますが、同時に地域住民の防災意識、生活必需品の備蓄、避難所の確認など身の回りで取り組む備えが必要です。つまりトップダウンとボトムアップの両方が合致した時に防災に強い地域づくりを成し遂げられる」と強調しました。
 なお、本シンポジウムは、国際交流基金の助成により2018~2019年度、カリフォルニア大学とJWNDRRが共同で実施した、日本とアメリカにおける合同調査研究の報告会として実施したものです。

『激化する災害対応としての防災集団移転:多様性とジェンダー視点から』報告書:
URL: https://jwndrr.org/allnews/report/1597/