翻訳記事 – 男女共同参画と災害・復興ネットワーク ../../../../ 女性の力で変革を Fri, 01 May 2015 00:37:29 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.2.6 ../../../../jp/wp-content/uploads/2022/05/fb-profile-110x110.png 翻訳記事 – 男女共同参画と災害・復興ネットワーク ../../../../ 32 32 南アジアにおける災害による強制移住のリスクについて ../../../../allnews/world/800/ Fri, 01 May 2015 00:37:29 +0000 http://jwndrr.org/?p=800 Justin Ginnetti、Chris Lavellによる技術論文(2015年4月)
This technical paper provides evidence-based estimates of the likelihood of disaster-induced displacement in Afghanistan, Bangladesh, Bhutan, India, the Maldives, Nepal, Pakistan and Sri Lanka. It attempts to better quantify human displacement risk. It brings together data from several sources – notably the Global Assessment Reports (GARs) and the Asia-Pacific Disaster Report of the United Nations International Strategy for Disaster Reduction (UNISDR), national disaster loss inventory databases (DesInventar) and IDMC’s Global Estimates – in order to better quantify human displacement risk. Applying a probabilistic risk model, it is one of the first attempts to assess how many people are at risk of being displaced by natural hazard-related disasters. It is the first attempt to do so for South Asia.

アフガニスタン、バングラデシュ、ブータン、インド、モルジブ、ネパール、パキスタン、スリランカにおける災害による強制移住について、証拠に基づく推定を行い、強制移住のリスクのよりよい数量化を試みる。Global Assessment Reports (GARs)、UNISDRのAsia-Pacific Disaster Report、国家災害損失一覧データベース(DesInventar)、IDMCのGlobal Estimatesという様々な出典のデータを基に分析している。確率的リスクモデルを応用した、災害によって強制移住を余儀なくされるリスクのある人々の数を査定する初の試みである。
この論文におけるジェンダーへの言及は二箇所。

(1) 2.4 強制移住の特徴:極端な災害リスクの表出

<第二段落> 強制移住そのものが将来の災害リスクになり、貧困や人権侵害、そして既存の脆弱さの悪化のリスクが高まる。これは特に、住居や生活が破壊され、何度も移住を余儀なくされたり長期化した場合に起こりやすくなる。家や居住地から強制的に退去された場合、家族の離散や性的またはジェンダー関連の暴力のリスクが高まり、特に女性と子どもがその影響を受ける。 (2) 表2.2:災害リスクに影響を与える要因と関係
saigai

URL http://www.preventionweb.net/english/professional/publications/v.php?id=43812&a=email&utm_source=pw_email

IDMC全文
http://www.internal-displacement.org/assets/publications/images/2015/201504-ap-south-asia-disaster-induced-displacement-risk-en.pdf

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女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」(WAW! Tokyo 2015)の開催 ../../../../allnews/world/798/ Fri, 01 May 2015 00:31:10 +0000 http://jwndrr.org/?p=798 2014年9月のWAW! Tokyo 2014の成功を受けて、日本政府は今年も8月28日・29日に「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」(WAW! Tokyo 2015)を主催する。これは安倍政権の優先課題のひとつである「女性が輝く社会」を実現するための努力の一環として行われ、様々な女性問題について世界中の著名人が集まりシンポジウムと議論を行う。今年の特別セッションには、「女性と防災」が含まれている。

URL: http://www.preventionweb.net/english/email/url.php?eid=43869
外務省HP: http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/hr_ha/page4_001005.html

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第七回太平洋・島サミット(PALM 7)開催 5月22-23日 ../../../../allnews/world/796/ Fri, 01 May 2015 00:29:47 +0000 http://jwndrr.org/?p=796 太平洋島嶼国・地域が直面する様々な問題について首脳レベルで率直に意見交換を行うことを目的とした太平洋・島サミットは、1997年より3年に一回行われている。第七回サミットは福島県いわき市で開催され、アジェンダには気候変動への適応と、防災が含まれている。

URL http://www.preventionweb.net/english/email/url.php?eid=43868

外務省HP http://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/ocn/page22_001669.html

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オンライントレーニング 紹介 ../../../../allnews/world/794/ Fri, 01 May 2015 00:25:15 +0000 http://jwndrr.org/?p=794 1.2015年8月11日〜20日「気候変動環境における家庭の食糧安全保障」

場所:カンボジア(シェムリアップ)
主催:International Institute of Rural Reconstruction, Regional Center for Asia (IIRR) 
参加費:1800USドル
内容:

  1. 家庭の食料安全保障と栄養学についての概念・原則・関連アプローチについての基本的理解を得る。
  2. 気候変動とそれによる食料安全保障によって起こるリスクと脆弱性に関する意識を向上させる。
  3. 食料安全保障リスク管理と脆弱性に参加型アプローチを行う価値をよりよく知る。
  4. 各々の食料安全保障イニシアティブを改善する革新的アプローチを特定する。

対象者:食料安全保証プログラムまたはプロジェクトに関わる地元・国際NGOスタッフ及び研究者
登録方法:Dulce Dominguez(dulce.dominguez@iirr.org)にメールをお送りください。
Prevention Web URL
http://www.preventionweb.net/english/professional/trainings-events/events/v.php?id=43538

2.2015年4月30日〜5月30日 「コミュニティーベースの災害リスク管理へのジェンダーの主流化オンライン認定コース」

締め切りは過ぎていますが、参考までに
場所:オンライン
主催:Human Rights and Justice Group International
参加費:300USドル(途上国の参加者には限られた奨学制度あり。)

内容:女性・男性の双方が各々の脆弱性に取り組み自分自身・家族・地元コミュニティーを守れるよう、災害リスク管理にジェンダー視点を取り入れる。

  1. 災害とコミュニティーベースの災害リスクマネジメント(CBDRM)のコンセプトを復習する。
  2. CBDRMにおけるジェンダー視点とジェンダーを取り込むプロセスを紹介する。
  3. ジェンダーに配慮したリスク評価のプロセスを体験する。
  4. 効果的な防災・対応・復興のためのジェンダーに配慮したリスク管理を紹介する。

対象者:プロジェクトスタッフ、アドバイザー、ボランティア、女性活動家、人道関連、災害リスク管理者、ジェンダー担当者、コンサルタント。英語ライティングができインターネットを使えることが条件。
登録方法:4月28日までに申込、4月29日までに全額を支払うこと。
連絡先:applications@justicegroup.org
Prevention Web URL
http://www.preventionweb.net/english/professional/trainings-events/events/v.php?id=43538

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パキスタン農村部で災害後に飢餓に陥る女性たち ../../../../allnews/world/740/ Sun, 19 Apr 2015 21:48:06 +0000 http://jwndrr.org/?p=740 日付:2015年4月20日
出典:Thomson Reuters Foundation, trust.org (TRF)


2010年の洪水で夫を亡くしたアミナ・ビビさんは、8人の子どもをかかえているが、米しか買うことができない。肥沃なパンジャブ州でも貧しい地域であるラジャンプールの女性だ。洪水で家も家畜もなくしたアミナさんは、他人のサトウキビや綿花栽培の手伝いで生計を立てている。彼女の地域は昔と違って、最近はほぼ毎年洪水の被害にあっている。

Help FoundationはOxfamから財源を得て、この地域の河川沿いの集落のいくつかで農民、特に女性がパワーを取り戻す支援を行っている。ある村では、女性のトレーニングの効果が明確に出ている。ある女性は、「防災のために木を植え、家の近くで野菜を育て始めました。災害の背後には地球温暖化という問題があり、それは世界中の向上や車から排出される”煙“のせいで起こっているのです」と言う。住民は毎年の洪水に備えて、ブルドーザーで底上げした土地に泥の家を作り、家畜と持ち物を守るようになった。地球温暖化を題材とした劇の公演には、地元の女性全員が足を運んだ。

女性たちは政府相手に土地所有に関する議論を始めるための委員会設立を決めた。「私達は40年ここに住んでいますが、土地を所有することはまずありません。土地のほとんどは国有ですが、農業生産高向上のためには、私達に土地を分配すべきなのです」 彼女らは男性と共にすでに地域協調担当者と面会し、土地所有と土手の維持について話し合い、担当者は対応を約束した。ある女性は「私達が団結したことが、最大の成果でした。政府に政策を変えさせるために、圧力をかけたいのです」と言う。また Help Foundationによるトレーニングが、地元女性の知識と自信をもたらしたとのことだ。

パキスタンでは、女性のエンパワーメントの例はないに等しい。Help Foundationは’70年代の設立以来、2010年に住民の信頼を得て最も大きい成功をおさめた。自分の畑を持ち、最近地球温暖化の会議のためOxfamの支援でバングラデシュに旅行した60代の未亡人は、「作物、洪水、貧困は、切っても切れない関係にあります。政府は私達にこそ、実際には何が起こっているのかを聞くべきなのです。私達を飢えから救ってきた外国のNGOではなく、パキスタン政府が私達を助ける責任を負っているはずです」と語った。

URL: http://www.preventionweb.net/english/email/url.php?eid=43774

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災害時の人のレジリエンスとコミュニティーの大切さ ../../../../allnews/world/742/ Tue, 14 Apr 2015 21:49:16 +0000 http://jwndrr.org/?p=742 日付:2015年4月15日
出典:Fast Company, Mansueto Ventures, LLC


ニューオリンズのハリケーン・カトリーナの二年前に低所得者の親を対象として行われた研究が、その後意外な展開を見せた。

「カトリーナ生存者のレジリエンス・プロジェクト(RISK)」では、ハリケーンの一年後と四年後に、同じ被験者の70%の居場所をつきとめて研究を続け、災害後のストレス、子どもの成績、住居、メンタルヘルスに加えて、災害が人生に与えた影響を調査した。

最近刊行されたThe Journal of Happiness Studies (幸福学ジャーナル)に掲載されたその結果は、驚くべきものだった。491人の女性の研究では、災害のわずか一年後に「なんとなく幸せ」「とても幸せ」と答えた被験者は89%に登った。全体の平均では、幸福度は下がっていた。しかし、災害四年後には被験者のほぼ全ての幸福度は災害前と同じレベルに戻った。調査を行ったカルヴォ助教は「人というのは、思ったよりもレジリエンスの高いものなのです」と語った。

ハリケーン・カトリーナにより、女性は甚大な被害を受けていた。85%が住居に深刻な損害を受け、3人に1人は家族か親しい友人を失った。また、自分や愛する者が医療を受けられない、食料がないといった主要なストレスを多くの人が抱えた。

例外としては、ハリケーンの四年後になっても、災害前より幸福度が下がった女性は38人いたが、彼女たちには、災害後も元の家に住み、コミュニティーからの支えが少ないという共通点があった。カルヴォ助教によると、研究によって、災害前後の社会的サポートがあるかどうかが、女性の幸せの主な要因であることがわかったという。

ラテン系移民の研究も行う助教は、脆弱な立場の人々のためには、コミュニティーを支援することが肝要であると考えている。また、ソーシャルワーカー等の支援者は、たんにその地域に行って資源の使い方を指示するべきではないという。「そのコミュニティーは貧困に苦しんだり脆弱な立場に置かれた人々が多いかもしれませんが、何が役に立つかについては、外部から来た人よりもよく知っているのです」

URL: http://www.preventionweb.net/english/email/url.php?eid=43759

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機会の不平等: 気候変動の影響に直面する思春期の少女たち ../../../../allnews/world/523/ Mon, 16 Feb 2015 00:10:23 +0000 http://jwndrr.org/?p=523 日付: 2014年12月
出典: Addressing Humanitarian Effectiveness No.121
    Neghne Goyal


世界中で、女性と子どもは気候変動の影響による不釣合に高いリスクに直面している。いくつもの研究でこの点が指摘されてきたが、リスクの差異に関する説明もまた平等ではない。少女たち、特に思春期の少女たちが気候変動で直面する課題を明確に示す必要がある。ほとんどの途上国において、農村部では大部分の家庭で思春期の少女が必要不可欠な役目を担っている。世界中の多くの国で、6~8歳という若いうちから少女は家庭において重要な経済的・社会的貢献をする。彼女たちは完全に、あるいは少なくとも部分的には、薪を集めたり、飲み水を汲んできたり、弟や妹の面倒を見たりする責任を負っている。たいていの場合、少女たちは家庭の困難な状況および機会の不足によって、自らの将来に関して妥協せざるを得ない。

過去数年の間、オリッサ州(インド)沿岸部の開発は、頻繁な台風やサイクロンその他の災害によって、数々の妨げにあってきた。加えて、気候変動に直面してインフラが不足し、若い少女に公正な成長の機会を与えるうえで非常に大きな問題が突きつけられている。2014年3月にケンドラパダおよびジャガットシンプール地区で開発協力地域センターが実施した研究によると、思春期の少女が直面する主要な障壁のひとつとして「公平な教育施設へのアクセスの不足」が挙げられた。女性の出席率の低さ、中退率の高さ、有能な若い女性労働力の不活用の多さ、そして家事のため学校に行かれない少女の負担の重さ、といったものが今日のオリッサ州沿岸農村地域において思春期の少女が直面する現実なのである。

少女が月経中に学校に行くことができないことも、男子に比べて女子の出席率が低い主な理由のひとつである。農村部では少女は布ナプキンを使うが、このため月経中に学校へ行きトイレ設備のない学校で一日を過ごすのは困難なのだ。学校で女性の衛生用品や着替えを提供できるようにはなっていない。その結果、平均的に少女は月経により最低でも年間25~30日は学校を休むことになる。この日数は、悪天候や収穫期の仕事、家事等によって休む日数とは別である。また、出席率が低いと少女たちは9年生以上の教育を続けることができない。10年生に進級するには出席日数の要件があり、これが満たされないからである。

少女たちが高等教育を受けるための下宿施設が足りないことも、高等教育への進学を望む少女たちにとって問題である。ほとんどの高校はブロック本部やレベニュー・ビレッジにある。オリッサ州の村落は広く散在しているため、これが少女の高校中退率が高い理由のひとつとなっている。遠い沿岸地域にスクールバスを出すこともできず、したがって、中等レベル以上の学校教育を受けたければ、長くて時に危険な道を徒歩または自転車で通学することが必要条件となるのだ。中退のもうひとつの理由は、女子教育が低く評価されていることである。オリッサ州にも蔓延する集団的家長の考え方は、我が国の思春期の少女の生活を激しく非難する。女性は結婚したら働くことが許されない(そして働くべきではない)ため、結婚したら少女にとって教育は意味がないと考えられているからだ。

中退率が高いことによって、我が国の若い生産的な労働力が活用されないでいる。多くの有能な少女たちは、教育を受けて我々がこの国に望む変化をもたらしてくれるかもしれないのだが、四方を壁に囲まれて選択肢もなければ意見表明もできない。自然災害の増加が危惧される中、また開発の過程を何年も後退させがちな気候変動が起こっているとき、こうした状況は悪化する。

オリッサ州における気候変動の問題は、人々に移動を強いることとなっている。機会が不足しているため、男性はカシミールやケララ、グジャラートといった遠くの州に移住する。しかし、気候パターンの変動によって、これは若い男性にのみ可能なことなのである。家族を養うための生計手段を求めて遠隔地まで行き、女性や少女はたいてい家を守るため村に残ることになる。こうした家族の多くはお金に困っており、男性がいなくなると生活は困難になる。多くの女性は自分の村を出て最寄りの街までさえ行ったことがなく、女性にとって移動はひとつの課題であるのだ。

ほとんどの家族は、畑で採れる食糧と雨や地下水に生活を依存しているが、気候パターンの変化により、これらの家族には常に不安が大きくのしかかっている。内陸部の浸水による洪水によっておこる水中塩分の増大が、全てを地下水に依存する若い少女や女性の生活において大きな困難となりつつある。あとに残された少女は、こうした問題に対処する能力を持たないままこうした問題に対応しなくてはならなくなる。オリッサ州における気候変動による災害数の増加で、こうした若い女性にとって将来はさらに暗いものとなる。移住する機会もなく、教育を受けていないことによる負担増もあって、気候変動は潜在的なリスクを増大させている。現在は影響がそれほど明白ではなくても、将来的には少女たちは気候変動のリスクにもっとさらされることになるだろう。海水位が上昇し村全体が海中に沈んでしまう危機に直面し、少女たちは自らの意見を表明し、来るべき将来に備える必要がある。したがって、教育に重点をおいて少女に平等な機会を与えることは、我々が気候変動に強い個人およびコミュニティを造るために取り組むべき重要なリスク軽減戦略のひとつである。

―― メグナ・ゴヤル

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パキスタン女性の災害に対する備えはこの地域で最低レベルにある ../../../../allnews/world/528/ Wed, 04 Feb 2015 00:17:57 +0000 http://jwndrr.org/?p=528 日付: 2014年11月25日
出典: トムソンロイター財団(TRF)trust.org


アリサ・タン、バンコク(トムソンロイター財団)

アクションエイドの報告書によると、南アジアにおいて過去十年間で自然災害による死者数が最も高い国パキスタンの女性は、災害に対する備えおよび災害後の復旧に関して、最も回復力が低い。

パキスタンはこの測定をした他の7か国と比べ遅れをとっており、このことは女性の社会的経済的地位の低さを反映している、とアクションエイドは南アジア女性の回復力指数報告書で述べている。

このNGOはオーストラリアの外務貿易省と提携し、日本を先進国の基準として南アジアの7か国全域で女性の回復力を100点満点で評価する指標の作成をエコノミスト・インテリジェンス・ユニットに委託した。

この指標は、突然の予期せぬ災害に対する各国女性の適応力および回復力を評価するため、経済、インフラ、制度、社会という4つのカテゴリーを調査した。

その結果、ブータン、スリランカ、ネパール、インド、モルディブ、バングラデシュの各国は40から46.4の点数となり、80.6点をとった日本の半分の回復力であった。パキスタンは最下位で27.8点だった。

「この地域では、女性が自然災害に備えた計画を立て自然災害から回復することができるよう保障するための国家計画において、女性の回復力が考慮されることがない。」

アクションエイド・オーストラリアで回復力と災害リスク軽減のアドバイザーを務めるメリッサ・バンカラス氏はカトマンズからの電話でそう述べた。

この報告書はネパールの首都で開かれたNGOと市民社会団体の会議「人民の南アジア地域協力連合(People’s SAARC)」において発表された。

報告書に含まれる国のうち、パキスタンとインドが1995年から2014年までの間の災害死者数が最も多く、それぞれ174,187人と99,357人であった。

パキスタンは地震や洪水に対して非常に脆弱であり、過去20年間に260億ドルの損害を受けたと報告書に記載されている。

1億8000万人の人口の10%以上が被害を受けた2010年の洪水だけでも、100億ドル近い損害があり、これはこの国のGDPの6%に相当する。

政策と実施の隔たり

2010年の洪水において女性と少女が見落とされており、これがきっかけで政府は国家災害管理局に「ジェンダーと子ども室」を設置するようになった、と報告書は指摘する。

この部署は今年、災害において脆弱なグループに関する国家政策ガイドラインを作成し、例えば災害時に女性が必要とするであろう物資の供給など、モンスーン災害対策において初めてジェンダー課題を優先させた。

しかし、報告書によると、このガイドラインはまだ実施されていない。

「策定される政策と現場での実施には間違いなく隔たりがある。」とバンカラス氏は言う。

「政策の良い例はたくさんあるが、現実にはそれらの政策がコミュニティのより良い結果に結びついておらず、国家政策が現場レベルにまで届くのを確実にするためにはまだクリアしなければならない課題がある。」

国の災害管理システムで働く女性がほとんどいないという事実もまた、パキスタンの政策を実施するうえでのハードルになっていると報告書は指摘する。

「もっと多くの女性が必要である。問題を理解している人たちだけでなく。もっと多くの指導者を育てる必要がある。例えば、災害対策に関する知識とスキルをもったガールガイドのように、コミュニティにおいて女性や少女を巻き込むこともまた課題である。」ジェンダーと子どもユニットのプログラムマネージャーを務めるファラハト・シェイク氏は、報告書でこのように述べている。

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2014年自然災害のレビュー: 異常気象や地震による損害の減少 ../../../../allnews/world/526/ Wed, 04 Feb 2015 00:14:50 +0000 http://jwndrr.org/?p=526 日付: 2015年1月7日
出典: ミュンヘン再保険会社(Munich Re)


プレスリリース

非常に深刻な大災害がなかったことと、北大西洋のハリケーンシーズンが平穏だったことにより、2014年の自然災害による損害は大幅に低く抑えられた。損害額が一番大きかったのはインドのサイクロン「フッドフッド」で、70億USドルであった。約7,700人が自然災害で命を落とした。

「個々のケースは痛ましいものであるが、昨年は自然災害の死者数が少なかったという事実は良いニュースである。そしてこれは単なる偶然ではない。多くの地域で、早期警報システムがより良く機能し、例えばインド東海岸を襲ったサイクロン「フッドフッド」やフィリピン海岸を襲った台風「ハグピート」の前など、気象災害が予測されるときは当局が一貫して人々を安全な場所に避難させた。」とミュンヘン再保険会社取締役のトーステン・ジェウォレック氏は言う。「しかし、2014年の損害が少なかったことで、我々は安全に対する意識を誤ってはいけない。なぜならば、全体としてリスク状況は変わっていないからだ。2015年が同じように穏やかになると期待できる理由はない。しかし、どんな年でも、何が起こるか予測するのは不可能である。」

ひと目でわかる2014年

  • 自然災害による損害全体の総額は1,100億USドル(前年は1,400億ドル)で、そのうち概ね310億ドル(前年は390億ドル)に保険がかけられていた。
  • この損害額は、過去10年の平均額をインフレ調整したもの(損害全体は1,900億ドル、保険損害は580億ドル)をはるかに下回っており、過去30年の平均額(損害全体1,300億ドル、保険損害330億ドル)よりも低い。
  • 死者数は7,700人で2013年(21,000人)よりも大幅に少なく、また過去10年(97,000人)および過去30年(56,000人)の平均値よりもはるかに少ない。この数字は1984年とほぼ同じである。2014年で最も深刻な自然災害は9月にインドとパキスタンで発生した洪水であり、665人の死者を出した。
  • 損害に関係する災害として合計で980の自然災害が記録されており、これは過去10年(830)および過去30年(640)の平均よりもだいぶ多い。広範な記録が行われたことが一因となっていると思われる。損害の少ない年には、小さな災害でも通常より大きな注目を集めることになるためである。
  • 2014年の最も損害額の大きかった自然災害はサイクロン「フッドフッド」であり、損害額全体で70億ドルにのぼる。保険業界で最も損害の大きい自然災害は日本に大雪をもたらした冬の嵐で、保険損害は31億ドルであった。

損害につながる自然災害の9割以上(92%)が気象によるものであった。特に目立つ点としては、北大西洋のハリケーンシーズンがいつになく穏やかであったことであり、強い嵐はたった8件だった(それゆえ名前がつけられた)。長期的な平均(1950-2013年)は11件である。対照的に、東太平洋の熱帯サイクロンシーズンは並外れて嵐の数が多いが、そのほとんどが上陸しなかった。東太平洋で発生したハリケーンのひとつ、「オディール」はバハカリフォルニア半島を北に縦断し、メキシコおよびアメリカ合衆国南部で25億ドルの損害(うち保険でカバーされるのは12億ドル)を生んだ。北西太平洋では、比較的多数の台風が日本の沿岸を襲ったが、建築およびインフラ水準が高いおかげで損害は少なく済んだ。

「この傾向は、エルニーニョ発生段階で予測されるものと一致している。太平洋におけるエルニーニョ南方振動(ENSO)現象の特徴は、世界中の異常気象に影響を及ぼしている。」とミュンヘン再保険会社で地盤リスク研究のリーダーを務めるピーター・ホッペ氏は説明する。北大西洋の海水温は平均を下回っていた。低い湿度や強いウィンドシアといった大気条件も熱帯低気圧の発生を抑えた。12月にカリフォルニアで日照り続きの後に起こった深刻な暴風や大雨などの災害も、このエルニーニョ現象に当てはまる。

ホッペ氏はまた、多くの科学者は、2015年半ばまでは軽度から中程度のエルニーニョ現象が続くと予測していると付け加えた。「2014年が平均以下であった後、アメリカで竜巻の頻度が上昇するかもしれない。エルニーニョ現象が本当に今年中盤までに終わることになれば、熱帯性低気圧シーズンが本格化する際にENSOからの緩衝作用がなくなると考えられる。」

2014年で最も損害の大きかった自然災害、サイクロン「フッドフッド」はまた、被害を抑えるための当局による措置の実際的な効果を明らかにした。「フッドフッド」は、10月10日にベンガル湾において最大勢力に達し、風速が190km/hを超えてカテゴリー4の暴風雨(5が最大)となった。10月12日には、アーンドラ・プラデーシュ地域の重要な経済の中心地であり人口200万人を擁するインドの港、ヴィシャカパトナムに上陸した。場所によっては、24時間で1平方メートルあたり120リットル以上もの雨が降ったとされる。インド気象サービスによる警告のおかげで、当局は50万人の人々を安全な宿泊場所に避難させた。このことで、このレベルの災害にしては死者数を低く(84人)抑えることができた。約70億ドルの損害全体のうち、5億3,000万ドルに保険がかけられていた。これは割合としては比較的少ない数字であるが、インドの保険密度は一貫した伸びを示している。

台風「ハグピート」でも状況は同様であった。「ハグピート」は12月6日にフィリピンのサマール島を襲った後、本島および首都マニラに向かった。上陸時はカテゴリー3の台風であり、時折175km/hを超える風速になっていた。したがって「ハグピート」は、前年に6,000人の死者を出したスーパー台風「ハイヤン」よりは弱かったが、それでも非常に破壊的であった。ハグピート襲来の前に、当局は16万5千人を避難させており、その結果死者数はわずか18人であった。

8月24日未明、カリフォルニアのナパタウンに近いナパバレーで地震が発生した。ナパは、サンアンドレアス断層の一部をなすいくつかの既知の断層がある、幅70kmの非常に危険にさらされた地域にある。ここでは、毎年6cmのスピードで西側の太平洋プレートが東側の北米プレートの下に入り込んでいる。ナパの地震はマグニチュード6.0で、この地域にしてはとてつもなく強いものではなかったが、多くの建物が深刻な損害を受けた。経済的損害は7億ドルにのぼり、そのうち1億5千万ドルが保険に入っていた。この地域は重要なワイン生産地であり、多くの業者でワイン醸造機械が損害を受け貯蔵していたワインが破壊された。「この地震は、サンフランシスコ地域はより大きな災害に備えなくてはならないことを示している。しかしそれは予測できない。」ホッペ氏は言う。

北アメリカで昨年の最大の損害は、異常に寒さの厳しい冬であった。アメリカ合衆国およびカナダの多くの地域、特に東海岸で何週間もひどい凍結が続いたり、大雪や猛吹雪が発生し、2014年だけで37億ドルの損害(うち保険は23億ドル)を招いた。

ヨーロッパの夏は、前年同様、ヒョウの嵐で非常に大きな損害を被った。6月にフランス、ベルギー、そしてドイツ西部を通過した低気圧エラが要因であった。この低気圧は風速が高く、ところどころで直径10cmものヒョウを降らせた。損害全体は35億ドル(25億ユーロ)にのぼり、うち保険損害は28億ドル(20億ユーロ)であった。ドイツではこのヒョウの損害は12億ドル(8億8千万ユーロ)となり、うち保険がかけられていたのは8億9千万ドル(6億5千万ユーロ)であった。

「技術的には対流活動として知られる激しい雷雨が原因となる、損害につながる厳しい気候は、アメリカ合衆国や中央ヨーロッパなど様々な地域で明らかに増加している。ヒョウも甚大な損害につながり得る。したがって、例えば建物など、損害の受けやすさを軽減する措置が最も重要である。」ホッペ氏は言う。

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